コロナワクチン打ってきました。

 

先週メルボルンはコロナによる5回目2週間のロックダウンが明けた。

 

と思ったら、一昨日の夜からまたもやロックダウンが始まってしまった。今回6回目のロックダウンである。

 

かつて世界一暮らしやすい都市の栄冠を手にしたこともあるメルボルンだけど、去年は世界一ロックダウンな都市と謳われていた。何といっても7月半ばから10月末まで、3か月以上の都市封鎖に外出規制がかかっていたのだから。

 

規制も移動は5キロ圏内だの、夜8時以降は外出禁止だの、許可されるのは食料品や必需品の買い出し、介護と医療、許可された仕事と通学、エクササイズと4つの理由のみだの、とにかく厳しい。今年はここに5つ目の外出許可理由、ワクチン接種が加わったのだけど。

 

そうしてロックダウンになるまでが、早い。デルタ株が猛威を振るうようになってその傾向はますます強くなった。初めが肝心と、ビクトリア州など数人のローカル感染が確認された途端にロックダウンがかかってしまう。今回もあっという間だった。

 

朝、8日ぶりに一人コミュニティ感染が確認されたとニュースでやっていたナと思っていたら、午後にはもうロックダウンのニュースである。その日来ることになっていた業者も会うことになっていた友人も、何時から活動禁止がかかってしまうかわからないからと、予定の前倒しを頼んできた。ひとたびロックダウンがかかると、州境ばかりか州内でも田舎と都市部の線引きがされてしまう。これだからうっかり遠出もできない。

 

去年ビクトリア州3か月のロックダウン明けに、ブリスベンに住むご両親が心配だと実家に里帰りした友達は、突如またロックダウンがかかって、夫と子供たちのいる自宅に数週間戻れなくなっていた。それでも彼女の場合、両親の家に滞在できたから不幸中の幸いとも言えたけど、ホリデー中のホテル滞在とかだったらどうなってしまうんだろうか? 日々嵩んでゆく宿泊費を考えるだけでも恐ろしい…というものだ。

 

コロナ騒動以来オーストラリアは基本的に国境を封鎖しているので、政府は観光業界を支えるため国民に国内旅行に出よう!と訴えている。だけどこんな状況で、どうしてケアンズホリデーとかを計画したくなるっていうんだろーか?

 

だいたい去年3月(今年ではなく去年ね)にロックダウンが始まって以来、海外で足止めされたまま未だに国に戻れないでいる気の毒なオージーが何万人もいるという。出たら最後、いつ戻れるのかもわからないような状況では、私も日本への一時帰国なんて夢のまた夢…って現状である。

 

そんなオーストラリアのワクチン接種。大陸国家という地理的条件と厳しいロックダウンで、去年のクリスマス前にはコロナ感染も落ち着いていたので、ワクチン接種に関して政府もわりとのんびり構えていたようなところがあった。今年になって世界中で変異株が猛威を振るい始め、アメリカやヨーロッパのワクチン接種が進んでくると、オーストラリア政府もワクチン接種率の低さを案じ始めた。でもメインのワクチンがアストロゼニカだったため血栓を心配する声もあって遅々として進まなかったのだ。今ではオーストラリア大陸にもデルタが入り込み、政府も国民皆ワクチン接種を訴えている。

 

とりわけお隣のNSW州などデルタ感染が収まらずロックダウンが長引いているので、抜け出す鍵はもはやワクチン接種しかない!と、ビクトリア州では60歳以上の接種に用いられているアストロゼニカのワクチンを希望する若年層に開放した(追伸、この後8月9日からビクトリア州でも同様になりました)。全体70%の接種が済めばロックダウンの心配もなくなるから一人でも多くの人にワクチンを打ってほしいと、州民に訴える州知事の声にも切羽詰まったものがある。

 

ちなみにオーストラリア政府の目下の目標は、12月中に国民80%ワクチン接種完了。そうなると国境も開き、海外旅行も自由になる、と。ああ、自由。今となっては、お財布や子どもたちの休みと相談しながら日本への一時帰国を決めていた記憶が遠~い昔の話のようだ。

 

 

とにかく、私もコロナワクチンを打ってこようと思い立った。前回のロックダウン中のことだ。

 

大量のファイザーワクチンが到着するとニュースで言っていたし、幸い足の怪我も治ってきた。ムーンブーツなしでも歩けるようになっていたし、これならワクチン会場の周りにとぐろを巻く長蛇の列に加わってもなんとか踏ん張り立って待てそうだと思って。いずれにしてもファイザーの予約は立て込むというからすぐにはできないだろうけど、せめて予約だけでも入れておきたいな、と。

 

早速ビクトリア州の予約サイトに行ってみた。コロナワクチンを打てる近場の病院を見つけて予約を取ろうとしたけれど、入らない。6月、7月、8月、9月―年末へとサイト上のカレンダーを捲り続け、遂には年明け2022年を進むが、6月でフリーズしてしまった…。

 

仕方ないので今度は距離を伸ばし、ど~んどん遠くの病院に行ってみたけれど、いずこも同じ。だいたい2022年半ばに入ったくらいでパソコン画面がフリーズしてしまう。そんな先の予約はまだできないのかもしれないと諦めた。

 

そんなことを数日繰り返した後、これはもうどこへ行ってもファイザーのワクチン予約は埋まってしまったのだろうと判断して止めた。次にまた大量のワクチンが到着するときやってみよう。

 

 

そんなおりUberに乗ったら「コロナワクチンは打ったかい?」とドライバーに聞かれた。

 

「いえ、まだ。全然予約が入らなくて」

 

「俺は打ったよ。先週ね」と嬉しそうに告げる彼はどう見ても40代で、ファイザーワクチンの年齢層である。

 

「ファイザーですよね? よく予約取れましたね。人と会う機会の多いお仕事だからフロントワーカーとして、やっぱり優先されるんでしょうね」

 

「いやいや、仕事は関係ないよ。電話したんだ。早起きして朝の4時に。すぐに繋がったよ。一発だったね。いいかい、人のいない空いた時間を狙うんだ。それがコツだよ」とインド系(たぶん)の運転手さんは振り返って、自信たっぷりに頷いてみせた。

 

ダッシュボードの上では金色のヒンズー教と思しき神様が躍るように輝いていた。躍動感あふれる輝きはあたかも天が、ほらあなたも試してごらぁんと言っているかのようだった。たった5分間ほどの乗車だったけど、なにか耳寄りな情報を頂いたような。

 

 

早速その夜、ビクトリア州のコロナワクチンホットラインに電話してみた。さすがに4時起きは躊躇われて、比較的空きそうな夕食時を狙って。あくまでも「比較的」空きそうな時間帯だったので、Uberの運転手さんが言っていたように一発というわけにはいかなかったけれども、20分と待たずに電話は繋がった。

 

コロナワクチンをネットで予約しようとしてもできなかったことを告げると、名前や生年月日や住所など基本的な個人情報を聞かれた後、家から近い接種会場を2箇所提示された。

「シティにあるハブと郊外のハブ、どちらがいい?」

 

どちらも病院ではなく、イベント会場に設置されたワクチンハブである。シティの方はスピ系イベントMind Body Spirit Festivalや、ダライラマ法王のツアーも開催されたセンターで、私も何度も行っている。そっちをお願いすると、今度は「いつがいいですか?」と聞かれた。

 

どうせ2、3か月か悪くすると年内は予約も入らないだろうと踏んでいたので、「予約が取れたら何としても都合をつけるのでいつでもいいです」と言っておいた。

 

するとあっさり「じゃあ、明後日のお昼ね」

 

「えっ、明後日!? そんな近日ですかっ」

面食らってしまった。それにその日はどうしても外せない予定が入っている。1分前に「いつでも都合をつける」と言った舌の根も乾かぬうちに、その日は都合が悪いとおずおず変更を頼むと、その翌日の予約を取ってくれた!?のだった。あまりの呆気なさに思わず「ファイザーですよね?」と確認してしまったほどだった。

 

こうしてネットではあれほど入らなかった予約が、Uberの運転手さんにならって電話してみたところあっさりと入ってしまったのだった。しかも3日後に。なんだか拍子抜けしつつ、やはりファイザーの予約が入らないと言っていた友達に早速電話予約をおススメしてみた。

 

 

まだ足が不自由なので電車やトラムを乗り継ぎ歩いて行く自信もなく、そのころは車の運転もできなかったので、当日はUberで向かった。広いイベント会場のどこがワクチンハブなのかもわからなかったけど、Uberやタクシーなら近くに横付けしてくれるハズだから歩かずに済むだろう、と。

 

だけど降ろされた場所からワクチン会場は全く見当たらなかった。人影もなく、ロックダウン中でお店も閉まっているし、ひっそりとしたものだ。以前ニュースで見たワクチンハブの周りに長蛇の列を作っていた接種待ちの人々を思い出せば、場所を間違えたのかと心配になってくる。

 

とにかくセンターの別の入口へと向かうと、前方を私と同じコロナワクチンの案内書を手にした若い女性が歩いていた。渡りに船と声をかけてみたら、彼女も「場所がわからないのだけれど、一緒に探しましょう」、と。すらりとしたブロンドの綺麗な娘さんで、右足を庇いながらのろのろ歩く私に付き合ってゆっくりと歩いてくれた。

 

彼女は今回2度目のファイザーワクチンの接種で、前回は病院で打ったのだそうだ。ファイザーは1度目の接種は比較的軽く、副反応が出ることも稀だけど、2度目は重くしんどくなる人が多いので、自分も今回は副反応が心配だと言っていた。

 

反してアストロゼニカは、1度目はしんどいものの2回目は軽くて済むのだそうだ。そういえばアストロゼニカを受けた友達の何人かは接種後3日ほど悪寒、発熱、筋肉痛、吐き気なんかの症状が出て眠れなかったと言っていたっけ。まあ、何もなかったと言う人もいるから人それぞれなんだろうけれど。

 

聞けば彼女はかなり早くにワクチンを打ったらしい。そのころ一般人の年齢対象は40歳以上で、その娘はどう見ても20代半ばだったから、看護師さんとかフロントワーカーなのだろうと思っていたら、実際は深刻な病気にかかっているからだった。それで主治医が早期にワクチンを手配してくれたのだそうだ。何の病気かは言っていなかったけれど、快活朗らかに話す姿からはとても大病を患っているようには見えなかった。

 

自分の娘と何歳も変わらないだろう娘さん。この若さで深刻な病気と闘っているんだ…と思えば、やはり切ない気持ちになってしまう。けれどそんな感傷や憂いなど跳ね返すかのように、金色の髪は冬の陽光を受けて輝いていた。

 

そうこうするうちワクチンの案内が見えてきた。入口に数人スタッフが立っていたけれど人も疎らで、ありがたいほどに空いていた。これじゃあ人影も疎らなはずである。彼女と別れて、それぞれQRコードからスマホでワクチン接種のサイトに入り手続きを完了した。

 

ワクチンハブの中も拍子抜けするほど空いていた。身元確認と予約確認を済ませて、アストロゼニカかファイザーか、それぞれのエリアに案内される。何もかもがスムースだった。

 

ファイザーワクチンのウェイティングスペースに入って、数分と待たずに簡易ブースの中に案内された。簡単な問診の後にコロナワクチンと接種後の説明を受けてからワクチンを打ってもらった。針も細く、インフルエンザのそれと変わりない感じである。ちなみにインフルエンザワクチンの接種後1週間は、コロナワクチンは打てないのだそうだ。

 

ワクチンを接種した後は15分間、深刻な副反応が出ないか様子を見るために今度は待機スペースで待たなければならない。ソーシャルディスタンスを保ってゆったり配置された簡易椅子に座って、さっきスマホにダウンロードさせられた接種後の手引きを読みながら待った。別段何の変化も起きなかった。

 

時間が来たらレセプションで看護婦さんから1度目のコロナワクチン接種が記録された証明カードをもらう。接種後の注意事項を再度確認され、次の接種の説明を受けた。ファイザーの場合1回目の接種後3週間から6週間の間に2度目のワクチンを受ける必要があるので、必ず受けるようにと念を押された。2度目は予約の必要もなく、ただここに来て、この証明カードを提示するだけで良いとのこと。予約の面倒さを思い返せば、ふらりと入るだけでいいという気軽さは嬉しい。

 

これで1度目のコロナワクチン接種は終了。予約に手間取ったことを思えば、呆気ないほどスムースで、ありがたいほど整然とした接種だった。

 

行きをご一緒した彼女が言っていたように、ファイザーワクチン1回目の接種は軽く、私の場合、副反応も殆ど出なかった。左腕のワクチンを打った辺りが心持ち痛いというか、多少重たい感じかな~というくらいで。

 

 

その3日後と8日後にビクトリア州政府からコロナワクチン接種に関するフォローアップ調査が携帯に送られてきた。アンケートに答えながら、あの娘のことを思い出していた。ファイザーの2度目の接種はしんどいと言っていたけれど大丈夫だったかなぁ、と。副反応が出ていなければいいのだけれど…。そうして、病気が早く治るように、心から願う。

 

先日ニュースで、オーストラリアでも12~15歳の子どもたちにコロナワクチン接種が是認されたと言っていた。実際の接種はまだ先のことになりそうだけど、我が家の14歳は深刻な喘息持ち。学校という大きな環境に毎日通っているからワクチンを打ってもらえるのならばありがたいなぁとは思う。

 

デルタは若年層にも深刻な脅威になっていると聞く。一方、ワクチンの副反応で亡くなる方もいらっしゃる。コロナで亡くなる方も、ワクチンの副反応で亡くなる方も出ないようにと願ってやまない。1日も早くコロナが終わりますように。

 

とにかく私は2回目の接種を忘れないようにしなくては。

 

 

写真は、ロックダウン中に我が家に遊びに来てくれた鴨。

前回のロックダウン以来お家訪問は御法度が続いているのですが、鴨夫婦(たぶん)が遊びに来てくれました。

 

 

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