『ユーカリの木陰で里の行』


ブログ『ユーカリの木陰で里の行』

本や執筆、チベット密教やスピリチュアルな話、家族や愛犬、メルボルンの暮らしなんかをゆぅらりと綴っています

 

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家族でダライラマ法王と迎えた年明け―

2020年1月15日の日記から


Happy New Year!!!

皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

 

2019年から2020年への年越し、

皆様いかがお過ごしでしたか?

 

私の方は12月中旬から日本に一時帰国する予定だったのですが、

夫の病状が急変してしまって…。

去年早々に買っておいた航空券も急遽キャンセルして、

オーストラリアで新年を迎えました。

 

例年なら近所のお寺で除夜の鐘を打ち、

『ゆく年くる年』で日本全国大晦日の風景を窺い

寺院の鐘の音を聞きながら炬燵で迎えていた新年が、

今年はメルボルンの花火で迎える年明けに。

 

除夜の鐘を打つ代わりに、

地元のチベット仏教寺院で大晦日に開催される

祈祷に参加しようかとも思ったのですが、

夫にはそれは無理そうだったし、

家族揃って過ごしたかったので、

結局テレビの前で、

Happy New Year! 

 

それでも、家族4人で新年を迎えたのでした。

オーストラリアのお正月といえば

別段伝統的行事があるわけでもなく、

かといって福袋や年明けセールがあるわけでもなく

(年末セールはクリスマス明け26日Boxing Dayに始まっている)、

むしろお店の大半は閉まっています。

この時期は夏休みホリデー旅行中の方も多いので、

近所の商店街もひっそりとしたもので、

カフェもレストランも開いててラッキー!って感じデス。

 

年末にメルボルンのジャパニーズグロッセリーで

栗きんとんやお餅なんかは買えたので、

なんちゃってお節やお雑煮を用意して、

とりあえず日本のお正月気分は味わったものの、

年明け、神社仏閣に初詣にも行けない・・・というのは

スピ的要素があまりに無さ過ぎて、自分的には残念過ぎた。

 

せめてもビーチに太陽を拝みに行ってきましたよ。

地理的に地元のビーチからでは初日の出は無理なので、

初夕陽を。

困ったときの太陽信仰?ですかね(苦笑)。

一方、日本で

年に1度の孫たちとの再会を心待ちにしていた両親は

私以上にガックリきてしまったようで。

新年の挨拶に国際電話をかけたら、

父が開口一番ぼそりと、

「今年は帰って来るのか?」

 

私がメルボルンに移住して四半世紀近くになるのですが、

父がそんなことを聞いてきたのは

後にも先にも初めてのことで…。

ふだんは自分の胸の内を見せない寡黙なひとだけに、

何やら思い詰めたその一言が胸に突き刺さってきて…。

 

母など私たちのことを気遣いながらも

自分ももう年だから来年もここ(自宅)にいたいけど

無理かもしれない… などと涙声で…。

 

うわっ、新年早々何を不吉なことを… と思っても、

実際母の年齢と健康状態を考えれば、

何が起きても、つーか、

いつ介護施設に入らなくてはならないような状況になっても おかしくはないわけで…。

電話を切ったときには、

どっぷりと落ち込んでしまったのでした。

 

もう今年の正月ってば…

本格的に落ち込んでしまいそうな翌朝2日、

仏フレ(仏教フレンド)ティナリン(仮名)から連絡が入ったのでした。

インドのブッダガヤで開催される

5日間のダライラマ法王の教義が

地元のチベット仏教寺院でもライブで受けられることになった、と。

なんでも31日大晦日の祈祷会で急遽決まったとのこと。

 

毎年この時期にダライラマ法王は

インドで数日間の講義やリトリートをされます。

それに合わせて私の地元のチベット仏教寺院からも

ゲシェや仏フレ達がインドへ行くので、

私もそのうち参加したいと思っていたの。

でも夏休みと重なるこの時期は

毎年日本に里帰りをしてしまうから 難しいだろうな、と。

しかも今年は夫は病気だし、絶対無理だろうな、と。

それが、オンラインとはいえ…!?

 


ティナリンたちと年明けランチをして、

数時間後にはチベット仏教寺院で

瞑想クッションに座ってました。

 

突如実施が決まったという緊急企画だったせいか

会場もメインのゴンパ(瞑想室)ではなく

こじんまりした観音の間で。

そこにスクリーンとスピーカーがセットされ、

寺院からのお知らせメールも一斉なかったので

開催を知っている人も殆どなく、

集まったのも十人ほどでした。

 

既にブッダガヤでは僧侶たちの読経が始まっていて、

私もGyuto Monksの力強くリズミカルな読経を聞きながら

新年の瞑想をしました。

 

メルボルン時間で2時15分くらいにダライラマ法王が入場し、

オンラインとはいえ、

仏像や観音像やタンカの飾られた瞑想室で

ダライラマ法王の講義に参加することが叶ったのでした!

 

法王は2015年にブルーマウンテンでリトリートをされてから

オーストラリアにはいらしていないので、

ほぼ4年半ぶりに。

 

この日1月2日、初日の講義は

37 Practices of Bodhisattva菩薩の37行でした。

2日目はAvalokiteshvara Empowerment千手観音の灌頂、

3日目と4日目はManjushri Cycle of

Teachings文殊菩薩の教義を、

6日の最終日にも

様々なイニシエーションを授けてくれました。

 

ダライラマ法王の講義に関して興味のある方はどうぞこちらで

⇒ 37の菩薩の実践の法話会 ビデオ

 

そうなんです、イニシエーション。

今回法王は、2日目の千手観音の灌頂に始まって、

菩薩戒から最高位のタントラ・ヨガまで

ビックリするほどたくさんの

イニシエーションを授けてくれたのでした!

 

とはいえ、オンラインだったので、

実際のInitiation灌頂というより

Blessing祝福として受けようと思っていたら、

仏教寺院など仏のいるところでこれを受けている人たちは

正しい動機と意志さえもつならば灌頂として受けて良いのだと法王自らが明言されたのでした!

 

もちろん灌頂として頂きました。

過去に法王から授かっていた神仏のイニシエーションは

改めて絆を強めるために、

今回新たに授かったご縁は全身全霊で受け取りました。

ものすごくパワフルで、

夢見も数日間にわたって続いてました。

 

結局、今年は正月2日から6日まで

午後はチベット仏教寺院でダライラマ法王の

講義やイニシエーションを受けて過ごしました。

驚いたのは、

自分たちは参加できないのかナ?と、

子どもたち聞いてきたこと。

千手観音様の灌頂なのでどうなんだろ?と

寺院に問い合わせたところ

祝福として受ければと言ってもらって、

2日目から思いもよらず子どもたちも参加。

3日目からはなんと夫までもが参加してしまいました!?

 

というのもー

以前書いたことがありますが、

夫は2年半前に癌と診断されていました。

詳しい話はまたおいおい書いてゆきますが、

実は10月末から入退院を繰り返し、

11月半ばに主治医から余命数週間、

クリスマスまでは持たないだろうと言われてしまったのでした。

 

その1週間後、夫は入院していた病院の一般病棟から

Palliative Care終末医療病棟の方へ移ったのですか、

「病院ではなく家で最期を迎えたい」という本人の強い希望で

11月22日に自宅に戻ってきました。

当時はいつ息を引き取ってもおかしくないほど衰弱していたのですが、

子どもたちや犬たちの元気なパワーに癒されたのか

あれよあれよという間に持ち直し、

クリスマスどころか新年まで迎えることできたのでした!

 

それでもまさか

ダライラマ法王の講義にまで参加できてしまうとは!?

外出なんてもうほとんどできず、

たまに外に出てもスーパーやカフェに

ちょっと行っただけで疲れ切ってしまうし、

家でさえ椅子に半時間も座っていられないような状態なのに。

 

本人も、とても1時間なんて座っていられないだろうから

イニシエーションが始まり次第、瞑想室から出てゆくと言っていたのに、

なんと最後まで3時間以上も座り続けていた!のでした。

 

「信じられないほどパワフルだった! 素晴らしかった!」と

夫は翌日からも参加を続け、

驚いたことに結局その後3日間、

最後の6日まで参加してしまったのでした!

 

法王が授けてくださったイニシエーションを

彼が祝福として頂いたのか灌頂としたのかはわかりませんが、

素晴らしい年明けを迎えることができたようです。

今回日本に帰れなかったのは残念だし、

両親のことを思うと胸が痛むけれど、

夫にはやはり幸福な最期を送ってほしいと思います。

 

結局、スピリチュアルからは程遠いとガックリきていたメルボルンの年明けは、

思いもよらずスピリチュアルなお正月になったのでした。

家族4人でダライラマ法王と過ごした5日間、ですかね?

 

夫が終末を迎え、

ブッダガヤどころか近所のカフェでさえ

一緒に出掛けることが難しくなってしまった昨今。

この時期に

法王のリトリートを家族揃って受けることができたのは

有難い、と心の底から思うのでした。

子どもたちにとってもきっと

一生忘れられない思い出となることでしょう。

 

2020年―

我が家では大切な家族の一員を失おうとしています。

夫は自宅で終末を迎えたいと望んでいます。

私にとってはやはり外国のオーストラリアで、

家族の一員を送り出すことにもちろん不安はありますが、

家族として、仏教徒として、

できるだけのことをしてゆこうと考えています。

それから、できるだけ書いてゆこうとも。

 

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 




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